「苗代や 家は若葉に 包まれて」原 石鼎(はら せきてい)
新緑に風薫るころ、
ゴールデンウィークがやってきます。
昭和の日から始まり、
5月5日のこどもの日で締めくくられるまで、
4日間の国民の祝日があります。
ゴールデンウィークと言えば、
テーマパーク、コンサート、
海外旅行、交通渋滞などの風物詩が印象的です。
昭和のゴールデンウィークを振り返ると、
大掃除や親孝行といったキーワードもありました。
小学校のころ、毎年ゴールデンウィークには、
田植えのために田舎に帰るという友達がいました。
サラリーマンのお父さんが
実家の田植えの手伝いをするので
一緒に帰省するのです。
ゴールデンウィークがあるのは、
田植えで忙しい時期だからとも言っていて、
大変だけれど素敵な田舎での
暮らしをいっぱい話してくれました。
田植えの合間には、
道ばたに生い茂るシロツメグサや
レンゲで花輪を作ったり、
ヨモギを摘んで持ち帰り、
ヨモギ餅を作ってもらうとか、
小川でオタマジャクシを取ると、
田舎での暮らしを語ってくれました。
その友達は、
「お父さんは田植えで疲れて可哀想だけど、
私はとても楽しい」
と言っていました。
お父さんは、実家の親孝行と
子供へのサービスを同時にしていたのですね。
ゴールデンウィークが近づくと、
田植えという清らかな労働の季節を教えてくれた、
小学校のころの友達のことを思い出します。
久郷直子