7月17日、京都では祇園祭の「山鉾巡行」が行われました。
「祇園祭と言えば鱧料理」といわれるほど、
この2つには密接な関係があり、
ともに京都の夏の風物詩として挙げられます。
京都の中央卸売市場では7月16、17日に
鱧の値段が最も高騰します。
これは、料亭や旅館などが
鱧を買い占めてしまうためだそうです。
鮮魚を運ぶ技術が無かった時代。
海から遠く離れた京都で、
真夏に「鮮度のいい魚」を手に入れるのは
至難の業でした。
ところが、鱧には、
ずば抜けた生命力があったため、
生きたまま瀬戸内から
京都まで運ぶことが出来たといいます。
その為、京都の料理人たちが
「どうすれば、鱧を美味しく食べられるようになるのか」
と研究した結果、
「鱧の落とし」が編み出されたそうです。
鱧は硬い小骨が多いため、
そのまま食べることができません。
そこで、皮を残して小骨のついた身を切る
“骨切り”という手法が使われました。
骨切りは、一寸(約3cm)の幅に、
約24~25本の切り込みを入れるのが理想とされます。
切り身を熱湯に落としてサッと引き上げ、
氷水で冷やし、
すぐに水を切って盛り付ける「鱧の落とし」。
熱湯に入れた途端、
皮がちぢんで丸まり、
骨きりした身の切り目が開いて、
花が咲いたようになります。
通常は、梅肉や辛子酢味噌、
わさび醤油でいただきます。
酸味のあるタレが、
淡泊な鱧の旨みを引き立てます。
また、バルサミコ酢とオリーブオイルでいただくのも素敵です。
久郷直子