東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ
この歌は、学問の神様として有名な菅原道真が詠んだもの。
昌泰4年(901年)、
時の右大臣であった菅原道真は、
藤原氏の陰謀により大宰権帥(だざいのごんのそち)を任ぜられ、
京の都からほど遠い大宰府に左遷させられることに。
都を離れる直前、
道真が自宅の梅の木に対して上記の歌を詠みました。
道真を慕った梅の木は、
道真が大宰府に着くと、
一夜のうちに道真の元まで飛んで来たといいます。
これが有名な「飛梅伝説(とびうめでんせつ)」です。
最古の和歌集『万葉集』の時代から、
数多くの梅の歌が詠まれてきました。
まだまだ、厳しい寒さが続く2月。
風雪に耐えながらも美しい花をつける梅の姿を観て、
人々は深く感銘を受けたのでしょう。
「梅は咲いたか、桜はまだか」と、
春の到来を待ちわびる人の思いは、
今も昔も変わらないようです。
久郷直子