―春は名のみの風の寒さや 谷の鶯 歌は思えど 時にあらずと声も立てず
これは、日本の唱歌「早春賦(そうしゅんふ)」の歌詞の一部で、
この曲の作詞を担当したのが
東京音楽学校の教授だった吉丸一昌氏。
彼は、長野県安曇野市を訪れたときに見た
雪解け風景の美しさに感動し、
この歌詞を書き上げたそうです。
暦の上では春が来ているのに「春告鳥」といわれる鶯は、
あまりの寒さに鳴くのを躊躇っている…
そんな情景が目に浮かびます。
古来より日本人は、鶯を愛でてきました。
季節の移ろいを大切にする日本人にとって、
春の訪れを告げる鶯は、
とても重要な存在だったのでしょう。
確かに、鶯の
「ホーホケキョ」「ケキョケキョケキョ」
というさえずりを聞くと、
長い冬を超えてようやく春が訪れたのだなあと感じ、
胸が躍ります。
また気象庁が例年、
その年に初めて鶯が鳴いた日(鶯の初鳴日)を
公表しています。
その情報によると、今年もすでに、
九州方面で鶯の初鳴きが観測されています。
金氏高麗人参の本社がある京都で鶯が鳴くのは、
もう少し先のようです。
春告鳥の鳴く日を「まだか、まだか」と
待ち続けているこのごろです。
久郷直子