「海のミルク」と称される牡蠣。
冬は、牡蠣がおいしい季節ですね。
貝殻にこびりついた生牡蠣に、
レモン汁をたっぷりかけると、
まろやかなうまみと
爽やかな磯の香りが口いっぱいに広がります。
牡蠣は亜鉛や鉄分、カルシウム、タンパク質などを
多く含む栄養満点の食材であると同時に、
ノロウイルスに感染する危険性が高いとされています。
そのため「ノロウイルスに感染するのが怖いので、
牡蠣そのものを食べるのを我慢する」
という方も多いようです。
しかし、ノロウイルスに感染する危険性を持つのは、
なにも牡蠣だけではありません。
アサリやシジミ、ハマグリなどの二枚貝は、
すべてノロウイルスに感染する危険があるといわれています。
その理由は、二枚貝の生態にあります。
二枚貝は、海水を吸い込んで、
エサとなるプランクトンを体内に取り込みます。
この時、人間が排出した汚水に含まれる少量のウイルスも
一緒に取り込んでしまうのです。
取り込まれたウイルスは二枚貝の体内で蓄積し、
私たちの腸内で爆発的に増殖します。
その結果、下痢や嘔吐などの症状を引き起こすのです。
では、なぜ牡蠣だけが
「ノロウイルスに感染する危険性が高い」
といわれるのでしょうか?
そのカギは「加熱調理」にあります。
ノロウイルスは、85℃で1分以上加熱することで
死滅するといわれます。
アサリやシジミ、ハマグリなどは、みそ汁にいれるなど、
しっかり加熱して食べることがほとんどです。
ところがが牡蠣の場合、生のまま食べたり、
あまり中心部まで火を通さずに食べることもしばしば…。
これが、牡蠣は他の二枚貝に比べて、
ノロウイルスに感染しやすい食材として挙げられる理由です。
牡蠣は、中心部までしっかり火を通せば
安全に食べられます。
過度にノロウイルスに怯えて食べるのを控えるのではなく、
しっかり加熱調理をして
心ゆくまで冬の味覚「牡蠣」を楽しみたいものです。
久郷直子