花屋さんの店先に桃の花や菜の花が並ぶと、陽光までもが暖かく感じます。
今日は「雛祭り」。
この言葉を聞くだけで、一気に春が迫って来そうな気分になります。
雛祭りの献立といえば「ちらし寿司」と「蛤のすまし汁」。
彩よく春らしい献立ですが、それだけではありません。
これらの料理には、雛祭りの行事食としてふさわしい様々な願いが込められているそうです。
雛祭り仕様のちらし寿司には、海老やレンコンといった縁起の良い食材が使われます。
それぞれに意味があり、例えば、海老は健康長寿の願いを込めて。
レンコンは将来の見通しがきくように。
豆はまめに働けますように、などなど。
ちらし寿司には、『体調を崩しやすい季節の変わり目に、縁起の良い食材を食べて、健康に長生きして欲しい』という願いや、『大人になっても、食べるものに困ることなく幸せに暮らせますように』という思いが込められているのですね。
また蛤には、対となる貝しかぴったり合わない特徴があります。
そこから「良縁祈願」や「夫婦円満の象徴」として、慶事の食材となりました。
旬の行事食を美味しくいただいて、健康であることの喜びを感じることは、お金をかけずに楽しめる贅沢のひとつ。
皆様もぜひ、明るく華やかな気分になれる雛祭りを存分にお楽しみくださいね。
久郷 直子