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2023年2月 歳時記のある暮らし

梅の花の便りが届くころとなりました。
皆様、おすこやかにお過ごしでしょうか。
いつも『神秘の健康力』をご愛用いただき誠にありがとうございます。

長く続く寒さに春を待ちわびるころです。けれども冬の自然の芸術を楽しめるころでもあります。朝、少し早く起きて窓ガラスに目をやると、霜が美しい花や羽毛の模様で飾っています。地面からニョキニョキと生える氷筍や、大気中の氷粒が光に反射してキラキラと輝き舞うダイヤモンドダストなどの美しい自然現象を春が来る前に楽しんでおきたいものです。
空気が冷たく乾燥しているので風邪やインフルエンザに注意が必要です。そろそろ花粉症に悩む人もいることでしょう。長い冬の終盤には健康への不安が多く、昔から体調を崩す人も多かったのでしょう。季節の分かれ目には疫病や災厄という悪の象徴である鬼が来ると考えられていました。
二月四日の立春は春の始まりの日とされていますが、一年の中でも寒い時期なのになぜ、立春が巡ってくるのでしょう。それは中国の陰陽五行思想に基づいて、陰が極まれば陽に転じる、つまりこの日を境に冬から春に転ずると考えられたからです。その立春の前日が節分で、季節の分かれ目の日に鬼を退治する行事が行われるのです。
豆まきをして、鬼が嫌がる鰯の頭を刺した柊の枝を玄関先にとりつけます。豆が用いられる理由は、豆に魔除けの力があることや、魔を滅する魔滅(まめつ)の語呂合わせに由来するともいわれます。また「立春大吉」と書いたお札を家の入口に貼る風習があります。「立春大吉」の文字は左右対称で、縦書きにすると裏から見ても立春大吉と読むことができ、門をくぐって家に入ってきた鬼がこの札を見て、「この家にはもう入った」と勘違いして出ていくといわれます。
節分を終えて立春を迎えると、めでたさを祝う「立春朝搾り」というお酒や、幸福を呼び込む「立春大吉豆腐」をいただきます。このような節目の行事には、健康や幸せへの願いが込められており、四季のある日本では季節の体調管理に気づく機会となるでしょう。昔ながらの風習に寄り添って、何気ない日常を心豊かに過ごせたら幸せなことです。
 梅が香にのっと日の出る山路哉   松尾芭蕉
冷たい早朝の山路を歩いていると、どこからともなく馥郁(ふくいく)とした梅の香りが漂ってきます。その香りに誘われたように、真っ赤な大きな太陽がいきなり目の前に姿を現し辺りがぱっと明るい光に包まれた。そんな温もりを感じさせ、余寒厳しい早春に希望の春を感じる瞬間を伝えています。
 蠟梅や雪うち透す枝のたけ   芥川龍之介
蠟梅(ろうばい)は、透きとおるつややかな花が蠟細工のようだからこの名がついたともいわれます。「梅」という漢字が入っていますが、梅はバラ科で蠟梅はロウバイ科です。香りはバラやジャスミン、ジンチョウゲなどの花を合わせたような強い芳香があります。早春の冷たい空気の中、他の花に先駆けて咲き小ぶりながらも気品ある香りを放つ蠟梅は、梅、山茶花、水仙とともに中国で「雪中の四友(せっちゅうのしゆう)」として画題にされてきました。
二月九日ごろからは七十二候の「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」。春告鳥といわれる鶯が美しい鳴き声を響かせます。「梅に鶯」とよくいいますが、美しく調和するもののたとえとして親しまれてきました。ただ、実際に梅の木にとまっている鶯色の鳥はメジロであることが多いそうです。
二月十四日ごろからは「魚上氷(うおこおりをいずる)」。水が温み、割れた氷の間から魚が飛び跳ねるころ。春先の薄く張った氷を指す「薄氷(うすらい)」は春の季語です。春告魚の鯡(にしん)や鰆(さわら)が旬を迎えます。
厳しい寒さは続きますが三寒四温を繰り返し着実に春に向かっています。雪の中から顔をのぞかせるフキノトウやフクジュソウ。冬木立の新芽が日ごとにふくらみます。

寒い季節もあと少しです。寒さに負けず元気に冬を乗り越えましょう。
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皆様のご健康をお祈りいたします。

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