2024年3月 歳時記のある暮らし
春陽に草木が芽吹く季節となりました。
皆様、すこやかにお過ごしでしょうか。
いつも『神秘の健康力』をご愛用いただき誠にありがとうございます。
春草の姿持たる裾野かな 上嶋鬼貫
催花雨(さいかう)と呼ばれるこの時期の雨が草木の成長を促し、暖かい山裾から少しずつ春の色へと変化していきます。
三月三日はひな祭り。地方によっては、まだ春遠い白銀の世界で迎えるところもあることでしょう。女子の健やかな成長を願う日とされていますが、元々は三〇〇年ごろの古代中国で起こった「上巳節」という、春を寿ぎ無病息災を願う行事で、老若男女を問いませんでした。
季節の変わり目は寒暖差と気圧変動が大きく体調を崩しやすいものです。しかもアレルギーの原因となる花粉や黄砂の飛散で鼻炎などが起こりやすくなります。昔は、そんな季節の不調を邪気の仕業と考えていたことから、川で身を清めて邪気を払いました。
この水辺の行事は遣唐使によって日本に持ち込まれ、平安貴族の子女の間で流行っていた人形遊びに結びつきました。小さくかわいらしいという意味の「雛」の字を用いて「ひいな遊び」と呼ばれました。『源氏物語』にも「ひいな(雛)遊び」が数巻に登場します。
『源氏物語』は平安時代中期に書かれた日本最古の長編小説です。長編小説といえば世界的にはダンテの『神曲』が有名ですが、それよりも三〇〇年も前に書かれた『源氏物語』の英訳本が出版された二十世紀の初め、十一世紀初頭の女性が長編小説を書いたという点で世界から注目されました。
『源氏物語』は、光源氏が上皇に準じる地位にまで昇り詰める第一部、栄華を極めた光源氏の運命が暗転する第二部、光源氏の亡き後、その子孫たちも愛の悲劇を繰り返す第三部と、リアルな表現を通じて、孤独に悩む人間にとって愛は魂の救済となり得るのかを問いかけています。紫式部は、官職の名前などを除いては、唐の漢字の影響を受けず大和言葉のかなで、あの長編小説を完成させたのです。
今月は、ひな祭りの行事食で平安時代の雅を感じながら春をよろこび健康を願うのも素敵です。ひな飾りのひし餅には三段や五段がありますが、組み合わせの色によって春の情景が表現されています。三段で下から緑、白、赤の順に配置されていると、雪の下に新芽が芽吹き、桃の花が咲いている様子を示します。
縁起が良い海老や蓮根が入った華やかなちらし寿司やはまぐりのお吸い物、ポップカラーのひなあられ、長寿祈願の白酒など、それぞれに縁起を担いだ願いが込められています。
ひな祭りの花飾りとして桜と橘がありますが、これらは今も京都御所の「紫宸殿」に左近の桜,右近の橘として植えられています。橘は、初夏に白い花を咲かせ冬に黄金色の実をつける常緑樹で、古来から不老長寿の木とされてきました。桜には邪気払いの力があるといわれています。
桃の花や菜の花を添えますが、これにも理由があるようです。桃には、イザナギノミコトが黄泉の国から追ってきた鬼を、桃の実を投げて撃退したと『古事記』に記されているように魔除けの植物とされてきました。菜の花には邪気払いの意味はありませんが、春を告げる花として近年になってひな祭りの飾りに用いられるようになりました。
菜の花は、千利休が好んだ花でもあり、千利休の命日は「菜の花忌」とも呼ばれます。千利休は天正一九年二月二十八日に秀吉の命により切腹しましたが、千家ではその一ヵ月ほど後の三月に利休忌を行います。群生する菜の花が春霞たなびく河原や空き地を黄色で明るく照らします。利休が見ていた菜の花が何百年も同じ姿を見せてくれているのですね。
桜の便りが楽しみな季節となりますが、寒の戻りにはお気を付けください。
健康対策には高麗人参 健康食品『神秘の健康力』。
皆様のご健康をお祈り申しあげます。
金氏高麗人参株式会社
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