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2024年7月 歳時記のある暮らし

夏の風物詩に心躍るころとなりました。
皆様、すこやかにお過ごしでしょうか。
いつも『神秘の健康力』をご愛用いただき誠にありがとうございます。

七月には「文月」という別名があります。かつては七夕に書物を干す行事があり、「文」を「披く」ことを意味する「文披月(ふみひろげづき)」が「文月」になったという説もあります。
六日は小暑。「これからいよいよ暑くなるよ」と、夏に向けての心構えを促す響きがあります。七月は蓮の花が美しいころです。日増しに暑くなるにつれ水面に咲く蓮のような水生植物は涼し気で心安らぎます。七月盆が近づくと蓮の花の形の落雁なども売られます。
 この泥があればこそ咲け蓮の花 与謝蕪村
お寺の仏像が蓮の台座の上に座していることがありますが、仏教には蓮の花がよく登場します。泥の中にあっても美しい花を咲かせることから仏教では「汚泥不染」の徳が蓮にはあるとされています。花と果実が同時にできる蓮は、発芽の力を失わない生命力の強さを示すとともに、原因と結果は不可分という因果応報の考え、つまり仏教が説く「因果一如(いんがいちにょ)」を体現しています。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」では我欲に満ちた男の行動に失望するお釈迦様の様子が描かれていますが、蓮も主要なキャストとして登場します。お釈迦様の傍に咲く蓮の花は冷静な姿で私たちに真実について考えさせるのです。
「しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着致しません。その玉のような白い花は、御釈迦様の御足のまわりに、ゆらゆら蕚を動かして、そのまん中にある金色のずいからは、何とも云えない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れております。」
男はお釈迦様から与えられたせっかくのチャンスを活かせず、再び地獄へ戻ります。お釈迦様と同様、読者の私たちも人間の弱さを露呈させた男を憐みたくなり、共感や同情の念が湧き起こり気持ちが揺らぎます。しかしお釈迦様の傍に咲く蓮の花はそんなことを意にも解さず、感情とは関係なく世界は回り続けるもので、これこそが残酷でもなく当たり前の現実なのだと諭しているかのようです。
七日の七夕は星祭りとも呼ばれる五節句の一つです。七夕の行事食といえば素麺。昔、熱病を流行らせた霊鬼神が子供のころの好物だった「索餅(さくべい)」という揚げ菓子を祟りを沈めるために七夕に供えたそうです。やがて、索餅よりも、夏にのどごしの良い素麺を食べるようになったといわれます。
実際の七夕のころは梅雨明け前で、「洒涙雨(さいるいう)」と呼ばれる雨が降ることがあります。一年に一度しか会うことを許されない織姫と彦星の涙だとも、天の川を渡れずに会えなかった悲しみの涙とも、再会した後の別れを惜しむ涙ともいわれています。
「千里同風(せんりどうふう)」という禅語があり、千里を離れてどこにいても同じ風が吹いていると思うと、織姫と彦星の悲しみもやわらぐかもしれません。
 草枕の我にこぼれぬ夏の星 正岡子規
白南風(しらはえ)と呼ばれる南風が吹いて梅雨が明けるころ夜空を見上げると夏の星々が輝きます。こと座の一等星「ベガ」、はくちょう座の「デネブ」、わし座の「アルタイル」の三つの星が「夏の大三角」を形作ります。ベガは七夕の「織姫」、アルタイルは「彦星」で、二つの星の間を天の川が流れます。
十九日からは夏土用。昔は二十四日の丑の日に「丑湯」に入ったり、「土用灸」をすえて養生しました。うなぎや梅干しなど、「う」のついたものを食べて夏バテ対策をします。
二十二日は大暑。気温がぐんぐん上昇し、暑さに慣れていない身体に負担がかかります。年齢とともに暑さを感じにくくなり体温調整が難しくなり、熱中症になりやすくなりますのでお気をつけください。

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皆様のご健康をお祈り申しあげます。

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