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2023年7月 歳時記のある暮らし

夏の風物詩に心躍るころとなりました。
皆様、おすこやかにお過ごしでしょうか。
いつも『神秘の健康力』をご愛用いただき誠にありがとうございます。

 水田には青々と成長した稲がキラキラと輝き農家の忙しさがひと段落するころです。七月二日ごろは「半夏生(はんげしょうず)」。半夏とは烏柄杓(からすびしゃく)という薬草の別名です。半夏生には農作業で疲れた身体を休め、夏本番に向けて英気を養う目的があります。「半夏生に採れた野菜などを食べてはいけない」という戒めがありますが、このころはカビや雑菌が繁殖しやすい時期なので疫病が広まらないように注意を促したのでしょう。梅雨の後半から食中毒が急増しますので気をつけたいものです。
七月七日は七夕。七夕伝説では、天帝に引き離された織姫と彦星が鵲(カササギ)の翼にのって天の川を渡り年に一度の逢瀬を楽しむ日。旧暦の七夕は八月なので星も見えますが、新暦では梅雨のさなかで星空もよく見えません。そこで国立天文台では二〇〇一年から、旧暦の七月七日に近い日を「伝統的七夕」と定めました。二〇二三年は八月二十二日です。
新暦、すなわち西暦は太陽の動きに基づいた太陽暦ですが、旧暦は月の満ち欠けの周期を反映しているため、伝統的七夕の日付は毎年変わります。八月二十二日、天気が良ければ頭上にこと座の一等星ベガ(織姫星)とわし座の一等星アルタイル(彦星)が輝き、上弦前の月が沈むころには二つの星の間に白く光る天の川を見ることができるでしょう。一ヵ月ほど先にはなりますが、伝統的七夕の日には明かりを消し星空に目を向け昔の人々が見上げていた七夕の星空を楽しみたいものです。
『枕草子』に、「夏は夜。月のころはさらなり」と記されています。月といえば秋の季語ですが、秋の月が「美」の対象であることに対して、夏の月に古の人が見出したのは「涼」。人々は夏の夜空から「涼」の風情を受け取っていました。暑さが一段落し夜風を受けながら空を眺めてほっとひと息つくのも、夏ならではの楽しみかもしれません。
茶道の茶室にはこの時期、禅語の「星河清涼風」(せいかせいりょうのかぜ)という掛け軸が掛かることがあります。「星河」とは天の川や銀河のことで、夏の夜空に星が流れるように輝き、時折吹く風が身も心も清らかにしてくれるという意味です。掛け軸の禅語は『利休七則』の中の「夏は涼しく…」というくだりに通じるものがあり、季節感を演出しつつも相客が快適に過ごせるように工夫をして相手を思いやる気配りが感じられます。茶道では、季節によってお菓子だけではなく床の間の掛け軸や和花、お茶碗の形や絵柄、香合などの室礼が異なるため、茶室にいながら四季の自然が感じられることも魅力の一つです。
 星一つ 残して落(おつ)る 花火かな
江戸琳派を代表する絵師、酒井抱一の作品です。ここでの星は、夏の夜空にひときわ明るく輝くベガのことでしょう。闇が深かった昔、星と消えては浮かび上がる花火の輝きが写実的に表されています。
夏の風物詩の一つに花火大会がありますが、その由来には慰霊としての意味がありました。享保十七年の大飢饉やコロリ(コレラ)による犠牲者の供養と災厄除去を祈願して納涼始めの「両国の川開き」が行われ花火が打ち上げられました。両国の花火はやがて庶民の夏の楽しみとして定着し現在の「隅田川花火大会」へと引き継がれていきます。花火はお盆に行われる迎え火や送り火、灯籠流しなどと同様にご先祖の霊を送り迎えする意図があったようです。
七月二十日からは夏土用。本当は春夏秋冬それぞれの季節の変わり目に「土用」がありますが、夏は暑さの極みである「大暑」と重なります。夏の土用の丑の日には「う」のつくものを食べ、二十三日から訪れる大暑に向けて養生し楽しい夏を過ごしましょう。

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皆様のご健康をお祈り申しあげます。

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